医療機器紹介
レントゲン検査
ほとんどの方は、一度はレントゲン検査を受けたことがあるかと思います。レントゲンは、目に見えない体の中の状態をみる検査です。
医師が問診や身体所見で病気を疑ったときに、体の中の状態を確認するために行います。
喉が痛い→頚部レントゲン写真:咽頭や喉頭の異常がないか
咳や痰がでる→胸部レントゲン写真:肺炎や肺癌など肺に異常がないか
腹痛・便秘→腹部レントゲン写真:お腹の動きはどうか
特に呼吸器疾患が疑われた場合は、胸部レントゲン写真の撮影をできるだけ行ったほうが良いです。胸部レントゲン写真は、状態が悪くなればなるほど、画像の所見も派手になります。1枚胸部レントゲン写真を撮って肺の状態を確認すれば、大きな病気があるかどうかを判断できる検査となっています。
最近では、AI技術を活用したレントゲン画像の自動解析が導入されており、診断の精度を高めるために大きな役割を果たしています。AI診断ソフトは、医師の補助としてX線画像を迅速かつ正確に解析し、見落としの可能性を減らすことで、早期の病気発見に寄与しています。特に、肺の小さな異常や微細な変化を捉えるのに有効です。
レントゲンでまずは肺の状態を確認し、異常を認めた場合は胸部CT検査でより細かく調べるかを考慮します。胸部CTは胸部レントゲンの200倍の放射線被ばく量のため、気楽に撮影するのはお勧めできない検査です。CTがあるような大きな病院でも、CTよりもまずレントゲン撮影を行って必要性を判断します。
症状が軽くても、思わぬ病気が隠れていることもあります。咳や痰といった症状は、肺に何かあるかもしれないという体の警報です。
また、喘息や肺気腫などでご紹介いただく患者様も多いですが、状態が安定していても当院では、一度はレントゲン写真を撮影させていただくことが多いです。これは、今後もし咳や痰や息切れがひどくなった時に、悪くなる前の写真との比較が重要だからです。
レントゲン写真は、実は非常に判断が難しい検査になります。読みなれている医師でなければ、見落としてしまうこともあります。肺以外にも、肋骨、筋肉、横隔膜、心臓、血管などの構造物が写り込むため、慎重な判断が求められます。ここでもAI診断のサポートが役立ち、医師の経験と技術に加え、AIによる解析が正確性をさらに高めています。
AI画像診断支援システム
AIで胸部のX線画像を解析できる事で、肺炎や肺がんの早期発見に役立ちます。
当院では、AI(人工知能)技術を活用した最新技術である画像診断支援システムを導入しています。
このシステムは、胸部単純X線画像から結節・腫瘤影、浸潤影、気胸の3つの主要な画像所見を自動検出することが可能となります
・結節・腫瘤影は、X線画像に写る類円形の陰影で、肺がんが疑われる重要な所見です。
・浸潤影は境界が不明確な陰影で、主に肺炎や結核などの感染症に関連する画像所見です。
・気胸は肺に穴が開いて肺がしぼむ病気で、X線画像では肺と胸腔の間に空気がたまる特徴的な所見が認められます。
これらの病気は、早期に発見することで重篤化を防ぐことができるため、迅速かつ正確な診断が極めて重要です。
しかし、胸部単純X線画像は骨や血管などの構造が重なって表示されるため、病変の視認が難しいケースがあります。
特に、健康診断などで膨大な数の画像を読影する際には、高い集中力が求められ、人的な見落としのリスクも伴うことからAIでの診断機能支援機能の開発が進んで参りました。
医師の負担を軽減できることもあり、より効率的かつ正確な画像診断が可能となりました。
心電図検査装置
痛みや放射線被ばくが無く、お馴染みの検査機器である、心電図検査は、心臓が発生する微弱な電気信号を波形として記録し、心臓の状態を評価する検査です。採血検査が数値で結果を示すのに対し、心電図は波形として記録されます。心電図には「正常」とされる波形があり、それに一致しない場合、特に健康診断では「異常」と判定されます。しかし、正常な波形だからといって必ずしも心臓に問題がないとは限らず、異常な波形が必ずしも心臓の病気を示すわけでもありません。
心電図検査の特徴の一つは、「不整脈」の診断が得意な点です。心臓は規則正しく動くために電気信号を発生させますが、このリズムが乱れると不整脈が発生します。また、「心筋梗塞」や「狭心症発作」では、心臓の電気的活動に異常が生じ、心電図に異常波形が現れます。「心筋症」でも同様に、心筋に障害がある場合、異常な波形が記録されることが多いです。
一方、「弁膜症」のような心臓の弁に問題がある場合は、進行がかなり進んでから心電図に変化が見られることが一般的です。また、「狭心症」や「不整脈」では、発作が起こっている時でなければ心電図に変化が現れないこともあります。そのため、検査時の心電図が正常であっても、心臓に病気がないとは言い切れません。
逆に、健診で「異常」と判定された波形であっても、最終的に「問題なし」や「経過観察」とされるケースも多くあります。たとえば、心臓のポンプ機能が正常で突然死のリスクが低い場合、波形が正常とやや異なっていても「問題なし」と判断されることがあります。
心電図検査は、心臓の電気的活動を記録し、その状態を波形として視覚化するものです。心臓は自律的に電気的興奮を起こし、それが心筋の収縮を引き起こして血液を全身に送り出すポンプ機能を担っています。これらの電気的変化をグラフ化するのが心電図であり、診察や健康診断で頻繁に行われる一般的な検査です。心電図を受けたことがない方のほうが少ないほど、馴染みのある検査です。
心電図検査では、12誘導心電図と呼ばれる方式が一般的に使用されており、12種類の波形が記録されます。これは、心臓を12の異なる方向から観察し、より詳細な情報を得るためです。
医学が進歩する中でも、心電図検査が今なお重宝される理由は、患者に痛みや放射線被ばくなどの負担をかけずに実施でき、短時間で波形を確認できるうえ、得られる情報量が多いからです。しかし、聴診器だけで全てが分からないのと同様、心電図検査のみで心臓の全ての状態や病気が判明するわけではありませんので、複合的に検査をすることもあります。
総合呼吸抵抗測定装置 MostGraph-02
総合呼吸抵抗測定装置「モストグラフ」
総合呼吸抵抗測定装置は、患者が息を吐くだけで気道の抵抗を評価できる検査装置です。安静呼吸中に測定し、気道の総合的な抵抗を「3Dカラーグラフィック」で視覚化します。この装置は、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、呼吸器疾患の評価や治療効果の判定に広く活用されています。
このモストグラフは、総合呼吸抵抗測定装置の一種で、患者が自然な呼吸をしながら気道の状態を調べる検査方法です。特に喘息患者では、気道が狭くなるため息を吐き出しにくくなりますが、この装置を使うことで「気道抵抗」という数値で、その程度を定量的に評価することができます。
検査結果は、抵抗の程度に応じて色分けされます。正常範囲では緑色で表示され、抵抗が強くなるにつれて黄色→赤→青と変化するため、異常の有無が視覚的に一目で分かるようになっています。このため、喘息やCOPDの診断や治療効果の確認に非常に有用です。
気管支喘息とCOPDの違い
・COPD:気道抵抗が高く、周波数依存や呼吸周期依存が見られます。
・気管支喘息:呼吸抵抗は高いものの、周波数や呼吸周期への依存はあまり見られません。
これにより、病態に応じた治療方針の決定や治療効果の確認が容易におこなえるようになります。
小児にも検査が可能
モストグラフは、3~4歳の幼児から検査が可能で、これまで肺機能検査が難しかった6~7歳以下の年齢層でも、簡単に咳や喘息の診断や治療管理ができるようになりました。喘息の治療が適切に行われているかの評価にも役立ち、喘息管理における重要なツールとなっています。
検査方法
検査方法は非常に簡単で、患者はマウスピースを口にくわえるだけです。これにより、手軽に気道抵抗の測定が可能となり、患者さんの負担を軽減しながら的確な診断・治療に貢献します。
一酸化窒素ガス分析装置 NIOX VERO
喘息や気道の炎症状態をより正確に評価できる最新の診断機器「一酸化窒素ガス分析装置 NIOX VERO」を導入しました。この装置は、吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定することで、気道に炎症があるかどうかを評価します。NOの濃度が上昇すると、気道に好酸球性炎症があることを示し、喘息と他の慢性的な咳を区別するための重要な指標となります。
喘息患者の場合、呼気中のNO濃度は高くなり、この数値を基に炎症の程度に応じた薬の投与量を調整できます。これにより、適切な治療が可能となり、患者さんの負担が軽減されるだけでなく、治療の効率化にもつながります。特に喘息発作時にはNOレベルが高くなるため、治療の強弱を調整する指標としても利用できます。また、喘息患者の呼気中で増えるガスはNOだけではありませんが、一酸化窒素は喘息に特異的に上昇するため、慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった他の疾患との誤診を防ぐことができます。
検査は非常に簡単で、6秒以上息を吹き込むだけで終了します。測定開始から結果が表示されるまで、わずか約1分30秒です。検査の手軽さから、喘息診断や炎症評価に大変有用な検査法となっています。風邪をひいた後、長期間続く咳のうち、約30%の患者が本格的な喘息へ移行する可能性があります。早期に正確な診断を行うことで、この移行を防ぐことができるため、NO濃度測定は非常に期待されています。呼気中NO濃度を測定することで、喘息と他の慢性的な咳を鑑別し、適切な治療を早期に開始することが可能です。